[レポート] DXへ繋げるAWSクラウドマイグレーション成功の法則 #JAP203 #reinvent
こんにちは、芦沢です。
本AWS re:invent 2021で行われた「DXへ繋げるAWSクラウドマイグレーション成功の法則」セッションのレポートです。
本セッションはオンデマンドとなっており、期間中いつでも好きなタイミングで視聴することができますので、レポート見て興味が出たみなさんはぜひ実際に聴いてみましょう!
セッション概要
[TITLE]
DXへ繋げるAWSクラウドマイグレーション成功の法則
[DESCRIPTION]
日本企業のクラウドマイグレーションが加速しています。単なる既存システムのAWS移行によるコストダウンやITスタッフの生産性の向上にとどまらず、多くのお客様が最終的には、AmazonもAWS誕生でDXを実現したように、クラウドマイグレーション(ITトランスフォーメーション)からDX実現へ繋げる道筋を模索されています。AWSではお客様のマイグレーションを加速する様々なプログラムをご用意しており、いくつもの成功事例が生まれてきています。本セッションでは、AWSがご提供する包括的なマイグレーション加速へ向けたご支援内容のご紹介と共に、実際にマイグレーションを加速推進されているお客様の成功事例を通して皆様のクラウドマイグレーション本格検討の参考として頂ける内容になっています。
[SPEAKERS]
Takeshi Kurita
Business Development Division Migration & Modernization at AWS
[SESSION ID]
JAP203
[SESSION LEVEL]
200 - Intermediate
対象視聴者
- クラウドマイグレーションとは?が気になる方
- DXやクラウドマイグレーションに現在関わる皆さん
- DXやクラウドマイグレーションにこれから関わる皆さん
- AWSのクラウドマイグレーション支援について気になる方
レポート
導入
クラウドマイグレーションからDXへの王道
- 現在の国内の大規模マイグレーションが大きく推進されている
- さまざまな企業がマイグレーションを検討する要因
- この中でも、特に「デジタルトランスフォーメーション(DX)」について
- とあるお客様に「クラウドマイグレーションはIT部門の基幹システム、仮想基盤にのみ関連しているコスト削減のためのものでDXとは関係ない」と言われたが、そうではない
- DXの対象といえば、カスタマーエクスペリエンス、エンプロイーエクスペリエンスなどのLOB(Lines of Business)
- 一方で基幹システム、仮想基盤をITトランスフォーメーションでクラウドマイグレーションするのもDXの王道
- AmazonもITトランスフォーメーションからDXへ繋げた実績がある
- 現在はITトランスフォーメーション=クラウドマイグレーションのイメージ
- 2000年当時のAmazon.comのシステムはSun、SolarisなどUNIXシステムで運用していたが巨額の運用費用がかかっていた
- そのシステムをITトランスフォーメーションし、x86サーバ、Linuxベースのシステムへ移行した
- 併せてインフラをAPIでコントロールできる仕組みに変えることで大幅なコスト削減&スケーラブルなインフラをGetした
- これが、AWSが誕生するきっかけになった、これこそ「DX」
- ITトランスフォーメーションとDXは、分断されたものでなく
王道
である
ポイント
- みてわかる気づき =
Tech観点でなく、Non-Tech観点が重要
道のり
- いくつかステージがあり、上に行けば行くほどビジネス価値が高まるが、時間と移行コストも比例して高まる
- Stage1 リロケート
- 自社で保有するオンプレVMWare環境をAWS環境にそのまま移す
- 使い勝手はそのままにデータセンターはAWSへ
- ハードウェア保守等の作業から解放される
- 「持たないITへの変革」
- 時間/移行コストは低いが、ビジネス価値が低く、クラウドのメリットを100%享受することができない
- Stage2 リフト&シフト
- オンプレ等で使っているアーキテクチャ(OS,DB)をEC2やEBSを使うことでそのままAWSに持っていき(リフト)、その後OSやDBを徐々に移行していく(シフト)
- 中間の選択肢
- Stage3 モダナイゼーション
- マネージドサービスを利用することでさらにクラウドのメリットを享受する
- ビジネス価値は高くなるが、アーキテクチャの作り直しが必要なので時間/移行コストがかかる
- 多くの企業がイマココ
- まず黄色枠をゴールとして目指す
- トータルコストを下げ、スタッフの生産性を上げる
- 空いたコスト+手が空いたスタッフのリソースを原資に、モダナイゼーションを目指す
- 2Phaseを踏んだ現実的な進め方
- クラウドマイグレーションをすでに成功されているお客様は、Stage1、Stage2はもう終わっていて、Stage3をどうやって達成しようか検討しているところ
AWSクラウドへの移行促進プログラム "Migration Acceleration Program 2.0(MAP2.0)"
- 2020年から提供
- 大規模なクラウドマイグレーションは普段皆さんがやっている大規模ITプロジェクトのようにフェーズに分けて実行する
- 検討・評価→移行準備→移行
- 検討・評価フェーズ
- AWSとして無償で提供できるアセスメントプログラム
- Cloud Economics
- オンプレからクラウドに移行するとどのくらいトータルコストが下がるのか?ビジネスメリットがあるのかをアセスメントする
- Migration Readiness Assesment
- 今現在、客観的に6つの視点からクラウド移行の準備がどれだけ整っているか、のアセスメントを実施する
- 足りないところを強化すればクラウドマイグレーションは成功しやすくなる
- Application Portfolio Assesment
- 現在のオンプレの各システムの状況ごとにAWSのどのサービスを使って移行すれば良いか、のアセスメントを実施する
- これは以前から無償で提供していたのでたくさんのお客様の検討・評価フェーズで活用してきた実績がある
- 移行準備フェーズ
- ここから有償支援
- AWSプロフェッショナルサービスでのコンサルティング支援やAPNパートナーによる支援
- 移行の詳細が決まったところでAWSへの移行決定、MAP2.0を締結する
- 移行フェーズ
- MAPクレジットによるコスト削減
- 移行期間はオンプレの維持管理費+AWS利用費がかかるダブルメンテナンスの状態になるので、AWS利用費をクレジットで軽減、移行を加速していただく
- これは高く評価されていて、多数のお客様がMAP2.0を使って移行してきた
- 一方で、移行準備が最大の難所となっていたので、MAP2.0をアップデートした施策が次の話
MAP2.0を包含したAWSクラウドへのトータル移行支援プログラム "ITトランスフォーメーションパッケージ"
- 2021年4月リリース
- 検討・評価フェーズはMAP2.0と同じだが、移行準備前の段階でMAP2.0を締結
- 移行準備・移行を併せて包括的にAWSで支援するプログラムにアップグレード
- 詳細については後述
ITXパッケージに含まれる"移行準備フェーズ"のご支援プログラム
- 移行準備フェーズは最大の難所
- 画像の3つのポイントをもう少し詳細にご紹介
CCoEについて
- Cloud Center of Excellenceの略
- オンプレ中心のIT部門ではではインフラ担当、アプリ担当、セキュリティ担当など担当が分かれていることが一般的で、クラウド担当として横串で担当する部門がない
- IT部門の中で横断的に、横串でクラウドの問い合わせ、相談を一挙に受けることができる組織を作る
- Tech、Non-Techの両方でやるべきことがある
- Tech観点
- コアメンバーの育成のためのAWSトレーニング
- AWS認定SAAを取得してもらう
- Non-Tech観点
- 組織の立ち上げ
- CCoEのビジネスKPI、組織KPIまたはメンバーの役割と責任を定義して進めていくことが大切
- AWSプロフェッショナルサービスで有償支援あり
ITXパッケージについて
- AWSトレーニングバウチャー(利用券)のご提供:SAAのトレーニング3名分のチケット
- AWSプロフェッショナルサービス利用サポートのご提供:費用のディスカウント
CSMについて
- CMS=クラウド移行の相談役
EBAについて
- パイロット移行の対象プロジェクトの選定
- 体験型ワークショップでAWSによるサポート受けながら移行実施
ITXパッケージに含まれる"移行フェーズ"とそれ以降のご支援プログラム
- MAP2.0クレジット
- モダナイゼーション版の体験型ワークショップ
- Cloud Financial Management(CFM)でコスト最適化
EBAについてより詳細に
- モダナイゼーションに特化した体験型ワークショップ、2Phaseに分かれている
- アセスメントとアイデンティファイ
- どんなアプリケーションをどうやってモダナイゼーションするか見極める(1週間)
- EBAによるビルド&デプロイの経験
- モダナイゼーションするための計画準備・展開(4〜5週間)
- その後ワークショップで得た知識を横展開
CFMについて
- 継続的なコスト削減
- アセスメントのフェーズでコスト削減は達成できるが、移行後にさらなるコスト削減が期待できる
- AWS Cost Explorerなど既存システムのデータを分析収集し、コスト削減を提案
事例
NTTドコモ様の事例
- SavingsPlanを使用し、元々40%以上のコスト削減を達成していた
- CFMプログラムの活用で、最新世代のインスタンスを使用しコスト削減・パフォーマンス向上を体験したり、EBSボリュームの容量削減を実施
- 結果、12%のコスト削減を実現
他のお客様の事例
- NEC様の事例
- 2020年からMAP2.0を体験
- SAP HANAのバージョンアップPJでコスト削減の効果が出た
- KDDI様の事例
- ITXパッケージを活用
- ミッションクリティカルなシステムをMAP2.0を活用してAWS移行中
- 日本テレビ様
- MAP2.0、ITXパッケージを活用
- 番組制作システムのAWSマイグレーションをMAP2.0を活用して検証中
- 他にも100社を超えるお客様がMAP2.0、ITXパッケージを活用してAWSマイグレーションを推進中
まとめ
- ITX≒クラウドマイグレーションはDXへの王道
- 分断されたものではない
- 移行準備フェーズは最大の難所でしっかりとした準備が必要
- CCoEの設立、 ITスタッフ育成、ガイドライン準備、移行計画の策定などたくさんやるべきことがある
- ITXパッケージを活用して難所を超え、コストを下げつつマイグレーションを加速可能
- クラウドマイグレーションで終わりではなく、その先へ
- CFMによるさらなるコスト削減、EBAによるモダナイゼーション移行体験を通じてクラウドネイティブ化も視野に
感想
前半はクラウドマイグレーション、後半はその課題に対するAWSの施策、という建て付けのセッションでした。
個人的に特に力が入っていたと感じた前半部分は必見かなと思いました(後半はサービスの紹介になっているので当然かもですが)
冒頭からスピーカーのマイグレーションに対する熱い想いが感じられ、Amazon.comがITXを経由してDXに至った話など含蓄が深かったです。
Tech観点でなく、Non-Tech観点が重要
は他の場所でも多々聞く言葉ですし、まさにその通りだと思いました。
後半のMAP2.0やITXパッケージについても、普段クラスメソッドで働いているとなかなか触れることのできない領域の話で、私たちAPNパートナーにお客様から声がかかる前段ではこんなやりとりがされているんだな、と勉強になりました。